萩野 敏先生
2年後の就職、進学、留学。
必要な「学び」を自由に選択し、
それぞれが望む未来を叶えてください。
萩野 敏
Satoshi HAGINO
英語コミュニケーション学科
専門分野?専攻 英語教育学
Satoshi HAGINO
英語コミュニケーション学科
専門分野?専攻 英語教育学
[プロフィール]筑波大学第二学群比較文化学類卒、筑波大学大学院教育研究科修士課程(教科教育専攻)修了。1993年より現実践女子大学短期大学部に着任。
視聴覚機器やコンピューター テクノロジーを活用した新たな英語教育を模索
小学生の頃の夢はエアラインのパイロット。大阪出身で、空港の近くに住んでいました。高学年になると、大阪万博が開催されました。万博期間中には、定期便ではない外国からの珍しい飛行機を見ることができました。これが、海外に目を向けるきっかけになりました。
同じ頃、アメリカやイギリスの音楽も大流行。自然と英語に親しみ、中学では一番の得意科目でした。両親が教員だった影響もあり、高校時代には「将来は英語教員になろう」と考えるように。大学進学の際、筑波大学を選んだ理由は、東京教育大学の流れを汲む教育界に強い大学だと思ったから。お世話になった高校の先生にも東京教育大学出身の方がおられました。
大学で専攻していたのはアメリカ文学。中学生に英語を教えるアルバイトも経験し、教える楽しさに目覚めました。同時に英語教員を目指すのならば、圧倒的な英語力が必要だと考えるようになりました。大学院に進学し、英語教育学を学びはじめます。
言語を教えることは、その国の文化を教えることでもあると考えていました。だからこそ大学院でも、英語教育学と並行してアメリカ文学も学び続けました。
その頃の英語教育、特にリスニング教育で盛んに活用された機器にテープレコーダーがあります。テープレコーダーや、オーディオ設備のあるLL教室をリスニング教育に活用するメリットは、自分で機器を操作して自分が選んだ任意の箇所を繰り返し聞く「個別学習」ができること。LL教室は、今ではコンピュータを活用したCALL教室へと発展しています。
修士課程修了後は、ある国立大学の附属高校の英語教員に。知り合いの先生にお声がけいただき、出版社で英語の教科書や参考書の編集にも携わり始めました。
海外の先生とオンラインで会話する授業は、自分の殻を打ち破るチャンス
私が実践女子短期大学に着任した1993年は、まさに教育の変革期で、大きなカリキュラム改革が進行中でした。短大で英語を学ぶ女子学生が希望する就職先は外資系や貿易系が主であり、ビジネスにおいて役立つスキルを習得できる授業が必要でした。
私と同じく、テクノロジー機器に詳しかった非常勤の先生と組むなどして、さまざまな新しい授業を手がけました。英文ワープロソフトの操作やOSのコマンドなどを学ぶ「英文情報処理」や、TOEFL講座など。TOEFLは、英語力を証明できる試験として90年代に受験者数のピークを迎えました。WordもExcelも、WindowsもMacも、まだ存在しなかったり、日本ではほとんど認知されていなかった時代です。物心ついたときからインターネットと共に育ってきた皆さんの世代には、少し想像しづらいかもしれませんね。
CALL教室で行われている、海外の先生とオンラインで会話する授業はとても人気です。私が教員になった80年代中頃から30年以上が経ち、その間に、科学技術は驚くべき進歩を遂げました。これを教育に利用しない手はありません。
教室にいながらして海外への発信ができるのは、英語が得意な学生だけでなく、得意でない学生にとっても大きなチャンス。単語を知らないから話せない、恥ずかしいから話せないという殻を破り、まずは何かを伝えようとしてください。目の前に新しい世界が広がってくるはずです。
真の異文化コミュニケーションは、数字で表せる能力だけでは成り立たない
短期大学部で学べる期間はわずか二年。短大の1年生は、大学の1年生と比べても、就職をすぐ先の未来として捉えています。だからこそ、ビジネスシーンで役に立つ英語力を身につけることにこだわる学生も多いですね。時代の変化と共に変わっていく学生のニーズに応える一方で、ずっと受け持っている授業があります。それが「英米言語文化論」です。英語圏のアナグラムや回文、なぞなぞや地口といった言葉遊びを紹介し、学生たちにも、英語での言葉遊びに挑戦してもらっています。私がこの授業で伝えたいのは、英語圏の人々が共通で持っている「教養」。言わば文化的な常識です。
先にもお伝えしたように、短大の学生の時間は限られています。外国の教養なんて学んでも仕事では役に立たない、それよりも、TOEICの点数を1点でも上げたい——そんな風に言う学生もいます。
しかし、教養はコミュニケーションにおける土台。土台への理解があるかないかで、交わせる会話の質はかなり変わります。真の異文化コミュニケーションは、数字で表せる能力だけでは成り立たないのです。
英語運用力?実務能力に文化的教養を兼ね備えてこそ、本当に高い「英語力」を身につけたと言えます。英語コミュニケーション学科では、この両輪をバランスよく学べるカリキュラムを組んでいますので、二年間、集中して勉強に励んでもらいたいと思います。
最近では、在学中の海外留学に挑戦する学生も増えてきました。より多くの学生に留学を視野に入れてもらうため、海外の大学で半年ほど学んだ上で、短期大学部を二年間で卒業できるカリキュラムを設置しています。また、オーストラリアやハワイに1カ月間ほど滞在する英語研修プログラムも用意しています。
高校卒業後の進学先として、英語コミュニケーション学科と語学専門学校を比較している受験生もいるのではないでしょうか。専門学校との大きな違いは、英語という広大なフィールドの中で習熟度に応じて、興味のある学びを自由に選択できること。さらに学びを深めたければ、大学への編入学という道もありますし、海外の大学に進学するための準備期間と考えて、英語コミュニケーション学科を選択する学生もいます。
就職、進学、留学。学生の進路はさまざまですが、卒業式では毎年、「みんな幸せになってね」と伝えています。しっかりと自分の足で歩み、幸せになる。それを叶えるためのヒントを授けるのが、教員の役割。のびのびとした環境の中で成長し、可能性にあふれる未来へと、大きく一歩踏み出してほしいと願っています。