ホスピタリティ論(担当:武内一良教授)
商売をする者にとって「お客さまは神様」であるという心構えが重要視され、顧客の言うことは絶対であるという時代がこれまでありました。そのような時代に、他社との差別化を図る目的でホスピタリティという言葉が使われ始め、いつの間にかサービス業界をホスピタリティ業界と言い換えるようになりました。サービスという言葉の語源をラテン語に求めると、主人に対する召使や奴隷という意味にたどり着きます。これに対してホスピタリティは、人間同士対等の立場で尊重し合い、相手が困っているときは積極的に利他的行為に及び、出会った喜びを共に分かち合う人類愛を意味します。
商品として提供されるサービスは、利益を生むビジネス行為です。反対にホスピタリティは、相手に金銭的な見返りを求めない利他的行為を意味します。この「ホスピタリティ論」という授業では、サービスとは異なるホスピタリティの概念を学生に理解させ、ホスピタリティがサービス業界とどのように関係しているのか、学生に自分なりの答えを見出してもらうことを目的としています。日常生活圏にある店舗、非日常生活圏にある店舗、あるいは公的機関を各自で訪れてもらい、それぞれの対人サービスを分析させ、ホスピタリティとの関連性を論じてもらう進め方をしています。
この授業の最終的な狙いは、ホスピタリティという考え方を理解させることで、分業社会の一端を担う社会の構成員として社会や人とどう向き合い、どのような考え方と価値観で生きていくことが結果的に自分の幸せにつながるかを理解させることにあります。